平成30年・43週~カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症、伝染性紅斑~

今週の注目疾患   平成30年・43週(2018/10/22~2018/10/28)

【カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症】
2018年第43週に県内医療機関から5例のCRE感染症の届出があり、2018年の累計は第43週までに79例となった。
79例の内訳は、男性44例(年齢中央値74歳:範囲49~91歳)、女性35例(年齢中央値73歳:範囲16~96歳)であった。病型(重複あり)では、尿路感染症が25例、肺炎13例、菌血症9例、胆管炎8例、敗血症6例、胆嚢炎3例、髄膜炎1例であった。
原因菌については、Enterobacter aerogenesが27例と最も多く、Enterobacter cloacaeが22例と続く。
ただし、17例(22%)が菌種未記載や属名までの記載であった。
CRE感染症において、地域における流行状況や当該耐性菌のカルバペネム耐性機序を把握するためにはPCR法等を用いて詳細な解析を実施する必要がある。特にカルバペネマーゼ産生菌(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae; CPE)は広域β-ラクタム剤に汎耐性を示し、また同時に他の複数の系統の薬剤にも耐性のことが多いため、臨床的に大きな問題である。
2018年に県衛生研究所に搬入され、PCR法と阻害剤を用いた検査が実施されたCRE感染症患者由来の44株について、うち10株がCPEとされ、4株がIMP型、6例がNDM型であった。
KPC型、OXA-48型はなかった。
IMP型の4株の菌種は、E. cloacaeが2株、Citrobacterfreundiiが1株、Providencia rettgeriが1株であった。
NDM型の6株の菌種はEscherichia coliが4株、Klebsiella pneumoniaeが1株、E. cloacaeが1株であった(K. pneumoniaeとE. cloacaeは同一患者由来)。
NDM型メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生株が分離された患者に90日以内の海外渡航歴は無かった。
これまで国内のCPEはIMP型が主とされているが、県内で2018年にNDM型が多く分離されており、地域への浸潤や拡大に注意が必要である。
CREと判定された株が分離された場合は、それがCPEかどうか確認することが求められ、また同時に院内感染によるものか、周囲への拡散させるリスクについての評価をすることが重要である。
平時より接触感染対策、手指衛生や環境消毒を励行し、スタッフ間の情報を密にしながら発生時には必要に応じて保菌調査、患者の隔離・コホーティングやスタッフのコホーティングといった対策が求められる。

【伝染性紅斑】
伝染性紅斑は典型例では両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれるが、2018年第43週に県内定点医療機関から報告された伝染性紅斑の定点当たり報告数は定点当たり0.83(人)であった。伝染性紅斑の過去の傾向として、報告は初夏に多く、秋には少
ない傾向を示していたが、2018年は過去同時期と比較して報告が多くなっている。
千葉県のみならず、近隣都県においても同様の傾向となっており、今後の発生動向に注意が必要である。
本疾患は、ヒトパルボウイルスB19(B19)によって引き起こされるが、感染しても不顕性に終わることもある。
また、B19による感染症の臨床像は単に伝染性紅斑にとどまらず、溶血性貧血患者がB19感染を受けると重症の貧血発作を生ずることがある。
他に関節炎・関節リウマチ、血小板減少症、顆粒球減少症、血球貪食症候群や、免疫異常者における持続感染なども伝染性紅斑に合併、あるいは独立してみられることがある。
B19感染症で注意すべきものの一つとして、妊婦感染による胎児の異常(胎児水腫)および流産がある。
妊娠前半期の感染の方がより危険であり、胎児死亡は感染から4~6週後に生ずることが報告されているが、妊娠後半期でも胎児感染は生ずるとの報告もあり、安全な時期について特定することはできない。
しかし一方では、妊婦のB19感染が即胎児の異常に結びつくものではなく、伝染性紅斑を発症した妊婦から出生し、B19感染が確認された新生児でも出生後の発育も正常であることが多い。さらに、生存児での先天異常は知られていない。
したがって、妊婦の風疹感染ほどの危険性は少ないが、超音波断層検査などで胎児の状態をよく把握することが必要である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年10月31日更新)

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